絵画指導講師 川畑太 について
画家: 川畑太 とは
1964年 | 奈良県に生まれる |
1989年 | 金沢美術工芸大学大学院修了 |
1990年 | 山の辺工房(絵画教室)開設 |
1994年 | 人展 文部大臣賞 |
2004年 | 昭和会展招待( ’06 ’07 日動画廊 ) |
2007年 | 個展( 日本橋三越本店 ’10 ’13 ’16 ) |
2011年 | 個展( JR 大阪三越伊勢丹 ) |
2016年 | 個展( あべのハルカス ) |
2020年 | 第96回白日会展 白日賞 |
その他、個展・グループ展多数 現在 白日会会員 白日会関西支部所属 日本人物画協会会長 日本美術家連盟会員 |
私と大和
奈良盆地の北部東端に生まれた私は毎朝、陽の光を背負う山々から、この上なく清澄な風をうけることが出来る恵に浴し育ちました。
生家のすぐ裏山には4~5世紀の古墳群があり、隣のお地蔵様の祠の横には、石棺であったと思われる巨石が旧村の婦人達の井戸端会議の腰掛になっている、そんな大和ならではの風景が日常にありました。
わが国最古の道である「山の辺の道」の通る、物部氏ゆかりの石上(いそのかみ)神宮から南へ辿ると、三輪山が御神体の大神(おおみわ)神社へと続きます。卑弥呼の墓と言われる箸墓古墳はその手前。山は本当に、私の脳裏から消える事はありません。
小さな頃から写生が好きでしたが、どこを描いても背景は山。その頃は高い建物もまだ少なく、四方八方なだらかな山々が霞む風景は、「国のまほろば」というにふさわしい、美しく和やかな風景でありました。
他県へ行って海を見ますととても大きな気持ちになりますが、なんとなく落ち着かなく、安心感に欠けてしまいます。幼い頃から山々に囲まれ、それも峻険ではない、温かみを感じさせる大和の山々が、今は私の宝物となり、作品のイメージや人物の背景などに少なからず影響を与えているような気がします。
古代からの遺蹟、遺産にあまりにも恵まれ過ぎていたせいか、一部では景観保護や史跡の保全に遅れた感があり、失われてしまった古くからの美しかった景観を見るにつけ一抹の淋しさを感じますが、私の心の中の、大和盆地を抱く山々の豊かな小宇宙は、何処にも行かず失われる事無く、これからも私の作品に多くの彩りを与えてくれる事と思っています。
川畑太